QC工程表(QC工程図、QCフローチャート)は、製造プロセスにおける品質管理を体系的に行うための重要な文書です。原材料や構成部品の受入検査から出荷に至るまでのすべての工程において、工程の管理項目と判断基準(管理方法、頻度、規格値等)を明確にし、品質の変動をできるだけ最小限に抑えることを目的としています。
QC工程表は、製造業において品質を安定させるだけでなく、トラブル発生時の原因特定や再発防止、作業標準の確立、さらには工程改善のための基礎資料としても活用されます。そのため、QC工程表の適切な作成と運用は、製品品質の向上や生産効率の最適化に直結するといえます。
以下に、QC工程表を作成する際の基本的な構成要素と、ポイントについて詳しく解説します。
工程の明示
QC工程表では、受入から出荷までの各製造工程を明確に定義し、それぞれの工程に関連する情報を整理します。具体的には、以下の内容を明確にする必要があります。
- 各工程の名称と概要:どのような作業を行うのかを簡潔に記載する。
- 作業手順:工程内での具体的な作業の流れを明確にし、作業者が迷わないようにする。
- 工程間の関連性:前後の工程とのつながりを明示し、スムーズな流れを確保する。
品番及び品名
- 対象品番及び品名:管理対象となる製品や部品の品番及び品名を記載する。
制定日付
- 文書の策定日を明示し、バージョン情報を管理する。
- 定期的な見直しができるように改訂履歴と併せて管理する。
作成者の署名
- 文書を作成した担当者が署名し、作成責任を明確にする。
- 作成者の情報を記録することで、問い合わせや変更時の対応をスムーズにする。
特に、ISOやIATFなどの品質管理規格に準拠する場合、文書の管理責任が問われるため、作成者の記載は不可欠です。
工程と作業順の番号付け
- 各工程や作業に対して、一連の番号を付ける。
- 作業の流れが一目で分かるように整理する
工程フローの図示
- 工程全体の流れを視覚的に示すため、フローチャート形式で記載する。
- 記号を統一し、分かりやすいフローチャートを作成する。
- 例:
- ○(作業・加工)
- ◇(検査・確認)
- ▽(保管・待機)
- 例:
工程と作業内容
- 各工程や作業内容の名前を簡潔に記述し、担当部門や作業者を明示する。
- 具体的な作業手順を簡潔に記載し、標準化を図る。
例えば、
工程名 作業内容 担当部門 材料受入 材料と構成部品の検品 購買部 成形 部品の成形 成形部 検査 寸法測定及び外観検査 検査部
設備と治工具
- 各工程で使用する設備や治工具の名称・形式・管理番号を記載する。
- 適切な設備管理を行うことで、不具合の発生を防ぐ。
品質特性と管理項目
- 品質特性(寸法、外観、強度など)を具体的に記載する。
- 管理基準(許容範囲)を明確にする。
例えば、
管理項目 | 基準値 | 測定方法 |
---|---|---|
重量 | 10±2 (mm) | ノギス測定 |
表面粗さ | Ra1.6以下 | 触針式測定器 |
検査と確認方法
- 各工程で行う検査や確認方法を明記する。
- 目視検査、寸法測定、機能試験など、適切な検査手法を選定する
関連帳票
各工程で使用する検査記録や作業指示書などの関連書類を記載する。
改版履歴の管理
- 履歴欄を設け、改訂履歴を追跡できるようにする。
- 変更内容、改訂日、承認者を記録し、最新情報を管理する。
品質保証責任者の署名
- 最終的に品質保証責任者がQC工程表を承認する。
- 承認プロセスを明確にし、品質保証体制を強化する