不具合原因調査時の事実把握について

不具合が発生した際には、事実を的確に把握し、不具合の原因を迅速に調査して再発防止対策を実施することは非常に重要です。最初のステップは、事実を的確に把握することです。そのためには、不具合の発生状況がどのようなもので、どのようにして発生したのかを解明する必要があります。ここでは、不具合が発生した際に、発生状況を確認するための情報収集方法と確認すべき事項について、具体的に解説します。

👉不具合の発生状況を的確に把握する


発生状況を的確に把握することは、真因に近づくための第一歩です。不具合の連絡があった際には、以下の情報を速やかに収集し、確認しましょう。

基本情報の収集

まず、基本情報として製品の品番や品名、不具合の内容、発生した数量、発生日、発生日を確認します。可能であれば、箱番号や製品のシリアルなど、さらに詳細な情報も把握しておくことが望ましいです。これらの情報は、不具合の発生範囲や影響を特定するために必要です。

不具合現品

次に、不具合の発生した箱や不具合現品をできる限り回収し、図解や写真などを使用して、不具合がどの部位で、どのように発生したのかを明確に示します。これにより、不具合の再現や特定が容易になり、関係者に対しても理解しやすくなります。もし不具合現品の回収が難しい場合は、お客様から詳細な情報提供を依頼し、可能な限り多くのデータを収集しましょう。

内部および外部の全プロセスの確認

不具合がどの工程で発見されたか、またどのような工程を経たのかを、社内およびお客様の工程を含めて確認する必要があります。お客様の工程に不具合の要因が潜んでいる可能性もある為、慎重に確認しましょう。

👉事実を的確に把握する


次に、現品の確認とその詳細な分析を行い、現象の本質に迫るための事実把握を行います。製品や工程の様々な側面を確認するためのステップを紹介します。

 

  • 不具合現品の確認・分析 
発生した部位のサイズ、周辺の状態、外観、寸法、粘度、吸水量など、可能な限り詳細な分析を行います。また、ロットサンプルや在庫品にも同様の不具合が発生していないかを確認し、さらに対象部位が検査ポイントに含まれているか、また梱包仕様が適切であるかを確認することも重要です。
  • 工程概要の確認
QC工程表に基づき、不具合発生に関連する工程を洗い出します。各工程の担当者は、4M(Man、Machine、Material、Method)に基づいて、あるべき姿と実際の状況を確認します。ここでは、ルールと実際に差異がないかを評価します。
✔ルールに従って実施された場合は、プロセスが正常に機能していると見なし、OKと判定します。
✔ルールに従って実施されなかった場合は、不具合の発生がその要因による可能性が高いため、NGと判定します。また、ルールに従っていても不具合が発生した場合は、ルールそのものに改善が必要であると判断し、改善項目とします。
  • 変化点、異常点の確認
生産履歴、検査履歴、機械設備のメンテナンス記録などを確認し、過去6ヶ月~1年間の生産状況(生産数量、製造ロット、工程内不良など)を調査します。不具合と関連する変化点(4M変更実績)や異常点(トラブルや機械停止等)がないかを確認しましょう。
  • 作業者へのヒアリング
現場の作業者や担当者に対してヒアリングを行い、作業時の状況や異常が発生したタイミングを把握します。作業者から得られる情報は、通常の記録では見つからないヒントを提供してくれることがあり、現場の声を聞くことが重要です。
  • 発生傾向の把握
発生した不具合が一度きりのものであれば良いのですが、複数回発生している場合は、そのパターンや傾向を把握する必要があります。そのためには、作業者ごと、機械設備ごと、時間帯ごとなどに層別することで、ヒントを掴むことができます。発生傾向が分かれば、真因究明が安易になることが有ります。

以上、不具合の原因調査における発生状況の確認および事実把握の方法を紹介しました。これらは基本的なステップおよび考え方ですが、状況に応じて柔軟に対応しましょう。

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